「何?」

電話で「うん、何?」と言う時の「何?」は、マラヤラム語で「パラ」。
動詞パラユガ(言う)の命令形。
よって直訳すると、「言ってください」となります。
日本語学習者にも、「はい、言ってください」と電話に出る子が結構いたな。
典型的な母語干渉です。


周知の通り、インドは言語が多い。
サンスクリットを母体とするため文字体系や語彙は部分的に似通っているのですが
表現や用法となると、それぞれが独自のスタイルを確立しています。
でもこの電話に出る際の「言って。」は比較的多くの言語に共通する用法のよう。
そのせいか、英語で会話する際も「tell me」が幅広く通用してるのですが…


やはり、インド英語だったらしい。


二週間ほど前、ハーフな先輩と飲んでいると、インド人エンジニアから電話。
「Yes, tell me.」
といつもの様に出た瞬間、直観的に「しくじったかも…」と思ったわけですが…


案の定、昨日ばっちり笑われました。


「Tell meだよ?あはははは、あり得ない。ていうか絶対許さない、あはははは!」


知ってます。
確かに、隣の席の先輩は「What's up?」って電話に出る。
確かに、それは私は聞いている。
だけど、インド5年で耳に浸み込んだTell meが、
1人や2人のWhat's upでは、到底置き換わらないのです。
どんなに私が先輩から英語や通翻訳力を吸収しようとしているとしても、
こればかりは、絶対数が違いすぎる。


物事の成り行きで通翻訳が仕事となった今、
私が伸ばすべきスキルは、全てを押しのけて、英語。
それも、インドで生き残るための言語ではなく、ビジネス界で通用する、英語。
意味が通るだけではなく、TPOと相手を弁えた的確な表現力。
日々の勉強は去ることながら、
一度アメリカなりイギリスなりへ行って、
英語産出国の言葉シャワーを浴びてきた方がいいのかもしれないと、
ふつふつ思い始めています。




因みに、今ここにこんなネタを書いてますってケララ人に言ったら、
「それは間違いだ。インド英語じゃなくてイギリス英語だ。」
だそうです。
どうだかなぁ。